腰痛事例紹介４

腰痛に関して当院が経験した事例を紹介したいと思います。今回は４０代女性のストレッチにより悪化した腰痛の事例です。

飲食店キッチン勤務で立ち仕事。

いつも右足に体重を乗せる姿勢で仕事をしていて普段から右足や右腰に痛みや違和感がある。

違和感を強く覚えたため自宅で日課のストレッチをしたところ腰痛が悪化。

イスから立ち上がったり前かがみ姿勢で痛みが強く思ったように動けない。

その他、体を捻る動作が困難で歩いても痛みがある。トイレでお尻を拭く動きが辛い。

痛みは右腰が中心で右わき腹から右太もも外側に広範囲。

ストレッチで悪化から二日後、普段利用している整体院で施術を受けるも好転せず当院に相談。

長年、慢性の腰痛や全身疲労、肩や首のコリを抱えている。

メンテナンスとして自分なりにストレッチをするほか、週に一回は整体院でマッサージを受けていた。

疲れが溜まると腰痛や肩こりが強くなるのは自覚があったが、週に一回のマッサージで紛らわせていると言う。

キッチンに勤務しており、毎日同じ姿勢での業務。

厨房の構造上、右足に体重を乗せる姿勢での作業が多いとのこと。本人も体の右側を使っているという感覚が常にある。

業務中は右足荷重のため、右足から右腰に痛みや重たい感じの違和感を感じることが多い。

また職場でのストレスを多分に感じているということだった。

発症から一週間程度経ち当院に来院され、以上のような状況をお伺いしました。

仕事に穴を空けたくないとのことだったので痛みの緩和を中心に、以下のような計画を立てました。

ご本人が仕事での姿勢のせいで悪化しているという認識をお持ちのようなので、腰痛について正しい知識をつけてもらう必要があると判断しました。一つ一つ研究論文を解説しながら、腰痛の原因となりうる社会心理因子について学習してもらうと同時に、機械的損傷が原因であるという従来の腰痛の原因の考え方からアップデートしてもらうこととしました。

仕事は休めないということだったので、痛みがあっても悪化しているわけではないことを理解してもらえるよう腰痛の知識的な部分を補いつつ、ストレスの対処法についてもお話させていただくことにしました。

不安や恐れなどのネガティブな心理因子が体の痛みに関係していることを理解して頂く必要があり、リラックス法等の習得も視野に入れると効果的かもしれないことを確認しました。

施術についてはご本人様が右腰や右足に意識を集中させないよう全体的に体を自力で動かす動作を取り入れて行いました。

運動も取り入れると効果的ですが、普段あまり運動せず運動不足とのことでしたので、ゆくゆくは何らかの運動を生活に取り入れてもらうことにし、施術とセルフケアを中心にすることと決めました。

痛みなく仕事に打ち込めること。休まず勤務を続けられることを目標としました。

また、ゆくゆくは運動を生活に取り入れることで自然に体が動かせるようにすることも目標にしました。

お話を聞く中で今後チャレンジしてみたいスポーツもあるとのことなので、痛みが引いたらその点についても考えることに。

・初回

初回は痛みよりも「現時点でどれくらい動けるか」に焦点を合わせて施術と検査を行いました。今後「どれだけ動作がしやすくなるか」を見きわめるために非常に重要な検査です。二回目以降、初回の可動域（どれくらい動けるか）を基準にして施術をすすめていきます。

一回目施術後、腰の動く範囲に大幅な改善が見られ、痛み自体も減少。セルフケアについて説明を聞いてもらい、自宅にて実践してもらうこととしました。

・二回目以降

一回目よりも可動域が増えたことを確認しながら、ご自宅でのセルフケアの修正をアドバイスし施術。

通院初期は動くことへの恐怖心が強いため、腰痛の知識を来院の都度説明しながらアップデートしてもらいました。

恐怖心が減りはじめたことで動きのバリエーションや強度が増え、以前痛かった動きもできるようになってきました。

４回目の施術（初回より二週間）で当初の痛みはほぼ解決したことを確認。

もともとあった腰や足の右側の違和感も以前に比べて大幅に楽になったとのこと。

以後、調子が良ければ施術間隔を広げ、腰痛に関して仕事の影響がどれくらいあるかを計測しながら検証しています。

従業時、右足荷重が気になると仰っていましたが、以前ほど違和感や疲労感もなくなり痛みもほとんどないとのことでメンテナンスとして通院を続けておられます。 

２週間程度で痛みの感覚は消失し、気にならないレベルになり、仕事をしても調子が悪くなっていないとのことでした。

ご本人が意欲的にメンテナンスとセルフケア、腰痛の知識の改善を行ってくれたおかげだと思います。

また痛みがほぼ取れた段階で興味のあったスポーツを始めることを決意され、実際にすぐに道具をそろえて運動を開始してくれました。

細かな不調はあるものの、強い痛みや不快感が解消したことで新たなチャレンジを始めるきっかけを作れました。

今後ますます健康に近づいていくことが期待できる事例です。